家族みんなの明るい笑顔

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「新しい領主さまんとこの奥さまは、ちっとも偉そぶることがなくって、私たちと同じ庶民感覚を忘れない気さくなお方だねえ」  彼女の奥さまとしての評判も上々だった。  だけどやっぱり彼女が買い物に出かけるのは、土曜日が多かった。  朝、洗濯婦と掃除婦のおかみさんたちがやってくると、子どもたちに手を振る。  それからいそいそと荷馬車に乗り込んで土曜市の街へと出かけて行くのだ。  市場でなじみの顔ぶれと挨拶を交わしておしゃべりをすれば、良い気分転換になる。彼女は幸せに満ち足りていた。  毎日しっかり食べられるようになってからというもの、やせっぽちだった小さな子どもたちは日に日にふっくらと育ってゆく。  そして彼女自身もどんどんふくよかに。特におなかのあたりが……。
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