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「ごめん、私たちのせいで君たちを巻き込んだ」  謝って欲しいわけではないが、蒼月が嘗て帝の一族であったのなら、これは帝という座を賭けた争いなのだということは想像がついた。 「帝の件は私と黒曜がどうにかするから、華は村に帰りな」  素直に頷くことができなかった。力不足なのは分かっていても、月の、蒼月の力になりたい。俯いたままその場から動けずにいると、急に室内が暗くなった。明かりが消えたのかと顔を上げる。  目に映った光景に言葉を失った。明かりが消えたどころか、外はどんよりとした黒い空気が漂っている。 「黒曜!」  蒼月が慌てて外へ飛び出し声を張り上げる。空から現れた黒龍は呻き声を上げながら地面に落下した。衝撃で橋は壊され木の破片が飛び散り、池の水は舞い上げるように高く水飛沫を上げる。 「……蒼月、小娘、ここから、逃げ、ろ」  黒龍は苦しげに身を悶えさせる。蒼月が近寄ろうとした瞬間に、冬華の身体が宙を舞った。 「きゃあ」  唐突な浮遊感に悲鳴を上げる冬華の腕を掴み、蒼月は彼女の腰に手を回して抱き締める。黒曜の狙いが分かった蒼月は苦しむ彼に手を伸ばすが、冬華ごと身体が浮いて上に飛ばされた。
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