勘違い

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「うん。この資料を先方に渡して構わない。じゃあ、このクライアントとの打ち合わせは望月に任せる。俺は別の新規の案件で打ち合わせが同じ時間に入ってるんだ。望月、一人で大丈夫か?」 真美が渡した資料に目をやってから、潤は顔を上げて尋ねた。 「はい。このクライアントとは何度か打ち合わせをして既に方針も同意をいただいてますし、今日は進捗状況を確認するだけですから、問題ないと思います」 「よし。頼むな」 「はい」 頷いてから資料を受け取り、真美は席に戻る。 そのあとはいつものように業務に集中した。 昼休みを挟み、14時半に会議室でクライアントとの打ち合わせに入る。 打ち解けた雰囲気で和やかに雑談してから、真美は現在開発中のアプリケーションやシステムについて、詳しく説明した。 「現在8割ほど構築出来ています。今月中には完成させ、動作テストを行います。その後実際に使い心地を確かめていただきながら、修正していければと」 「承知しました。実際に使うのを楽しみにしていますね」 先方の女性社員とにこやかに打ち合わせを終え、エントランスで見送ってから、真美はデスクに戻った。 「紗絵さん、打ち合わせ終わりました」 「お疲れ様。五十嵐くん、ついさっきクライアントがいらして打ち合わせに入ったわよ」 「そうなんですね。では課長には後ほど打ち合わせ内容をご報告します」 そう言ってから、真美は時計を見る。 ちょうど16時になるところだった。 (新規のクライアントだから、時間かかっちゃうかな?でもさすがに定時までには終わるよね) そう思いながら、真美はパソコンに向かって仕事を進めた。
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