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プロローグ
子どもの頃、小説が好きだった。
どんなジャンルの小説も好きだった。
ミステリー、恋愛、ファンタジー、歴史物。様々なジャンルの小説を、貪るように読む学生時代を過ごした。
小学生一年生で小説の面白さに魅了されて以来、私は図書室に通いつめるようになった。読んだことのない小説は片っ端から読んでいき、司書さんとは大の仲良しになった。
中学生になると、小説を読むだけでは物足りなくなってきた。次から次へと本を求める私に、司書さんが言った。
「ね、自分でも書いてみたら?」
その言葉をきっかけに、自分でも物語を作るようになった。小説を書くことは性に合っていたようで、すぐさま私は夢中になった。書くのを我慢できなくて、授業の合間にひっそりとノートにストーリーを綴っては、「小説ではなく、問いの答えを考えなさい」と先生に怒られたものだ。
だけど、高校受験や大学受験、就活といったイベントを経て、いつの間にか、小説を読むのも書くのもやめてしまった。
本とは全然関係のない仕事についた私は、毎日毎日、仕事に忙殺される日々。小説に夢中になった過去を懐かしむ余裕さえ、なくなってしまった。
だけど、ひょんなことがきっかけで、私は小説を書くことを再開することになる。
それは28歳の秋、休日出勤が重なった後の久しぶりの休日のことだった。
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