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あの日の小説の続きは
久しぶりの休日は、鳴り止まないスマホの着信音で目を覚ました。朝の10時半。働き続けた体にとって、10時半はまだ早朝である。
電話なんてめずらしい、と眠気の抜けない頭で画面を確認すると、実家の母からだった。
「もしもし、おはよう」
「おはよう。もしかして、まだ寝てたの?」
「いや、起きてたけど」
とがめるような口調に、ぎくり、とする。
寝坊にはうるさいのだ、うちの母は。寝てたなんて答えた日には、お小言が始まるに違いない。
こういう時は、ボロが出る前にサッと話題を変えるに限る。
「それで、今日はどうしたの?」
「そうそう。一昨日、郵便を送ったのよ。そろそろ届いているかしらと思って」
「まだ来ていないみたい」
「じゃあ今日かしら。受け取ってね」
「ありがとう」
実家から出た私を心配して、母はたびたび日持ちのする食材をこうして送ってくれる。
ありがたい反面、その分のお金を自分に使っても良いのにな、とも思う。だけど、それを言うのも野暮というものだろう。
「今回は、ばあちゃん家のジャガイモとりんごとお菓子を入れておいたから。それとね、倉庫を掃除していたら懐かしいものが見つかってね」
「懐かしいもの?」
「それも入れておいたから。届くのを楽しみにしていてよ」
倉庫ということは、食品以外なのだろう。
食品以外が実家から送られてくるのはめずらしいな、と思った。
まもなくして、実家からの荷物が届いた。
大きな段ボールで届いて、ずっしりと重かった。中まで運ぶだけでひと苦労だった。
きっと、開けるだけで随分と時間がかかるだろう。中身の確認もしなきゃいけないし、棚のスペースも確保しなきゃいけない。
ご飯でも食べて落ち着いてから開けよう、と私はひとまず部屋の隅に段ボールを寄せておいた。ぐっすりと寝て、お腹が空いていた。冷蔵便でもないし、何も急ぐ必要もあるまい。
そうしてご飯を食べているうちに、あれこれとやらなくてはいけないことを思い出して、どんどん荷物を開けるのは後回しにされていった。
色々としているうちに、荷物を開封しないまま、夕方になっていた。
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