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「出会った頃は惚れたら最後、なんて思ってたのに」
呟いて、あながち間違いではないと思った。
絆と出会ってから、愛というぬくもりの中でずっと溺れている、そんな感覚。そのぬくもりは決して琥珀を離そうとしてくれない。
「は?なんだそれ」
「好きになったらまともな思考を奪われて逃げられないって……なんとなくの直感。それだけ絆は謎めいて危険で、魅力的だった」
「だから惚れたら最後って?」
「うん」
琥珀の髪を指先で遊ぶように触れる絆。その仕草にすら妖艶さがあって目が離せない。
「やっぱりそう思ってたんだな。執念深く琥珀を追いかけてよかった」
「必死すぎてちょっと怖かったけどね」
「それだけ当時から本気だったんだろうな」
懐かしむように笑う絆の顔は本当に綺麗だ。ただ、出会った頃の少年っぽさが残ったあの笑顔も好きだった。
ふと、好きだったと過去形になってしまうくらい時間が流れたんだと感じて驚いた。
「でも、琥珀が結果的に俺を選んでくれて良かった」
絆は琥珀の瞳を正面から覗き込むと、一層笑みを深めて白い歯を見せた。
「琥珀」
ただ呼ばれただけ。それなのに色香の漂う声にドキッとしてしまう。
「なに?」
「いや、琥珀って綺麗な響きだと思って」
「どうしたの急に」
「一生かけて守るって誓うから、ずっと俺のそばにいてほしい」
「ねえほんとにどうしたの?熱でもあるんじゃ……」
甘い言葉の嵐に混乱してしまう。意図が汲み取れなくて見つめると、絆は視線を逸らして恥ずかしさを紛らわすかのように頭をかいた。
「だから……ちゃんとするって言ったろ、プロポーズ」
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