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「うえっ、え……!?」
突然の告白に変な声が出てしまった。確かに、大学を卒業したらちゃんとプロポーズすると言っていた気がする。
琥珀は完全に忘れていたのに、絆は4年前の言葉を覚えていたようだ。
「ご、ごめん変なところで鈍感で……」
なんてことだ、肝心な場面が自分のせいでグダグダになってしまった。琥珀は反省しながらちゃんと絆に向かい合った。
「いや、もういいけど……返事は?」
「……返事って必要?断るわけないのに」
返事は?と尋ねられたら答えはひとつしかないのに強がってしまった。だけど頬から引いたはずの熱がまたぶり返してきて赤面した。
「……ごめん、強がった。“はい、末永くよろしくお願いします”って言うのがちょっと恥ずかしかった」
「ふふっ、琥珀らしいな」
琥珀らしい、と笑ってくれて助かった。するとプロポーズを了承してくれたのが嬉しかったのか、絆は腕を広げてハグを求めてきた。
迷わずその胸に飛び込むと抱きしめられる。
「私を選んでくれたこと、後悔させないように頑張る」
「は?それは俺が言うセリフだ。一緒でよかったって思えるような人生にしような」
「絆といればどう転がっても楽しいよ」
「ありがとう。琥珀のこと諦めなくて本当に良かった。絶対幸せにする」
幸せにする、なんて恋愛ドラマでよく聞く安っぽい言葉。だけど絆が口にしたそれは確かに力があって、心がじんわりと温かくなった。
琥珀は幸せを噛み締め、その瞳を涙で輝かせながら笑った。
END
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