エピローグ

3/3
前へ
/278ページ
次へ
「うえっ、え……!?」  突然の告白に変な声が出てしまった。確かに、大学を卒業したらちゃんとプロポーズすると言っていた気がする。  琥珀は完全に忘れていたのに、絆は4年前の言葉を覚えていたようだ。 「ご、ごめん変なところで鈍感で……」  なんてことだ、肝心な場面が自分のせいでグダグダになってしまった。琥珀は反省しながらちゃんと絆に向かい合った。 「いや、もういいけど……返事は?」 「……返事って必要?断るわけないのに」  返事は?と尋ねられたら答えはひとつしかないのに強がってしまった。だけど頬から引いたはずの熱がまたぶり返してきて赤面した。 「……ごめん、強がった。“はい、末永くよろしくお願いします”って言うのがちょっと恥ずかしかった」 「ふふっ、琥珀らしいな」  琥珀らしい、と笑ってくれて助かった。するとプロポーズを了承してくれたのが嬉しかったのか、絆は腕を広げてハグを求めてきた。  迷わずその胸に飛び込むと抱きしめられる。 「私を選んでくれたこと、後悔させないように頑張る」 「は?それは俺が言うセリフだ。一緒でよかったって思えるような人生にしような」 「絆といればどう転がっても楽しいよ」 「ありがとう。琥珀のこと諦めなくて本当に良かった。絶対幸せにする」  幸せにする、なんて恋愛ドラマでよく聞く安っぽい言葉。だけど絆が口にしたそれは確かに力があって、心がじんわりと温かくなった。  琥珀は幸せを噛み締め、その瞳を涙で輝かせながら笑った。 END
/278ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1863人が本棚に入れています
本棚に追加