1#産めない雌犬

2/2
前へ
/4ページ
次へ
 この雌の保護犬は、元々野犬だった。  名前を保護犬ボランティアから『フー』と名付けられたが、元々どんな名前だったのか定かではない。  何故なら保護犬のフーは、元飼い犬で山奥に心無い元飼い主に捨てられて、ずっと彷徨って生きてきたらしく、痩せこけて身体中に痣だらけの状態で保護されたのだから・・・  ・・・・・・  仔犬が欲しい・・・仔犬が欲しい・・・  仔犬を産みたい・・・仔犬を産みたい・・・  私は、成犬になってからずーっと仔犬を産みたかったのに、  仔犬を産みたさに、パートナーになる雄の犬を探し回ってたのに、  何であの人間達は!!  頼みもしないのに、私の身体を変にいじくりまくって!!  膣が・・・違和感が・・・  そうよ!!私は二度と仔犬を産めない身体にしたのよ!!  避妊手術だって?!私のこの深い気持ちを蔑ろにして!!  不幸な命をこれ以上増やさないようにって・・・余計なお世話よ!!  酷い・・・酷い・・・  何でこんな事に・・・  こんな仕打ちなら、ずっと私は山の中を彷徨い続けた方がマシだったわ!!  確かに山の中は、獲物採るのは下手でずっと腹ペコだったけど・・・それ以外は何とかやってきたのに。  森の動物仲間と離れて、一匹で外で鎖で繋がれて・・・偶に新しい飼い主とこの辺を散歩する楽しみが出来たけど・・・  やっぱり一匹は耐えられないわん!!  仔犬が欲しい・・・仔犬が欲しい・・・  仔犬を産みたい・・・仔犬を産みたい・・・  そして、仔犬を育てたい・・・のに・・・  
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加