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現実逃避するかのように湯の中へと思い切り顔を沈めれば、先ほどとは違う息苦しさがあたしを襲った。
こんな事をしたところでなんの意味もないのに、敢えて自分の体へ負荷をかけなければ、やっていられなかった。
呼吸を止めていられる限界が来てそこから顔を上げれば、
"俺から逃げることは絶対に許さない"
先ほど佑から言われた言葉を思い出し、暖かい湯船に浸かっているというのに身震いする。
よりにもよって、なんで皇組の若頭なんかに…。
そちらの世界に明るくないあたしですら名前を知っているくらい有名な組だ。
それがどれほどの勢力なのかも、何を生業にして生計を立てているのかも分からないあたしにだって、ヤのつく方たちが危険でヤバいってことくらいは分かる。
しかも若頭ってことは、次期組長?ってことだよね…?
こ、怖すぎるっ
分からないことは恐怖に直結する。
聞けば何でも答えてくれるようなことを言っていたけど「あの、お仕事はどんなことを?」なんて、怖くてとてもじゃないが聞けそうにない。
人殺しなんて言われた日にはぶっ倒れる自信があった。
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