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どくどくと脈打つように体内で存在を主張するその音に、
うるさい、お願いだから静まって、と自分の臓器へと語りかける。
そんなあたしの心情を知ってか知らずか、ふっと小さく笑ったあと
「ああ、シャワーだけ借りる。」
その言葉と共にさらり、指の間から髪の毛が滑り落ちた
「あ、うんっ、、こっち。」
その拍子にパッと佑から距離を取り、先ほど辿った廊下を舞い戻る。
着替えやら何やらを押し付けてひとり戻ってきたあたしは、ぴたりとくっつき横並んでいる布団をザッと引き離し、奥の1枚へと潜り込んだ。
佑が戻ってくる前に寝てしまおう。
嫌なことから逃げるために睡眠は役に立つ。見たくないこと、知りたくないこと、受け入れたくないことから目を背けてきつく目を閉じた。
寝つきは昔からいい。
今日はなかなか寝つけないかもしれないと思っていたのに、気づけば意識が遠のいていく感覚がして、自分の神経の図太さに感心したような気がする。
「——…っん、、」
なんだか体が重いような感覚に、沈んでいた意識がゆっくりと浮上して、身動きを取るため体を捻りたいのに思うように動けない。
それに思わず顔を歪め「…んん、?」とくぐもった声を出だせば、すぐ近くで「どうした?」という声が聞こえてくる。
え?
「…っ!?」
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