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微睡んでいた意識が一気に覚醒して、カッと目を見開けば、暗闇の中、僅かに輪郭だけが浮かんで見えてくる。
体に巻きつく暖かで硬い感触は所謂人肌というやつだった。
「ちょっ、な、んでここにっ、!」
そう分かった瞬間、ジタバタと動くあたしをものともせず、ぎゅっと拘束する力をさらに佑が強める。
「?…椿が同じ部屋にいて、一緒に寝ない理由はないだろ」
淀みのない声でさも当然のように宣う佑に「…。」と思わず言葉を失う。
いや、え…?
そんな堂々と言われてしまうと、あたしが間違っているのかと一瞬錯覚しそうになる。
そこで、ハッとまた流されそうになってしまっている自分がいることに気づいて慌てて言葉を繋げた
「えっ、あたしたち、別に一緒に寝るような関係じゃない、でしょ…?」
あ、これ言って大丈夫なやつだったかな。と、口にしてからヒヤリとする。
佑が何故だかとてつもなくあたしに好意を寄せているのはわかった。でもあたしは違う。
21にもなってアレかもしれないが、あたしの経験人数は1人だけ。
しかもたった一回ポッキリのミソカス程度の経験しか持ち合わせていなかった。
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