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布団の中で感じる人肌は、その時のことを思い出させてあたしにとっては良いことではなかった。
「椿、お前諦め悪いって言われるだろ。」
あたしの耳へと唇をくっつけて、囁くように佑が言う。
ぶるり、その息遣いと、低音があたしの体を震わせて鳥肌がぶわっと身体中に広がった。
「っ、や、やだっ、そんなところで喋らないでっ」
肩をすくめて耳を防御するように首を傾げれば
「どうして?この方がよく聞こえる。」
さらにそこへとすり寄るように言葉を重ねる。
もうっ、なんなの…!?
こんな静まり返った部屋で聞こえやすいもクソもあるわけが無い。
ただでさえ佑の色気はとんでもないというのに、艶めいた囁きボイスの破壊力たるや、あたしのキャパシティはとっくにオーバーしている中で、こんなものは虐めに近かった。
「っ、な、なんでこんなことっ、」
「何で?椿に触れたい、近づきたい。そう思うのは普通のことだろ。」
何でどうしてと問えばすぐさま答えが返ってくる。そのストレートな物言いはあたしの言葉を簡単に詰まらせた。
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