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冒険者A「その本はもう無いんだよ」
インタビュアー「無い?」
冒険者A「その代わりに似たようなヤツを持ってきたんだ」
インタビュアー「似たような? 内容が、ですか? 見せてもらってもいいですか?」
冒険者A「おう。ちょっと待ってな」
インタビュアー「楽しみですねー」
冒険者A「これだよ」
インタビュアー「開いてみてもいいですか?」
冒険者A「もちろん!」
インタビュアー「では、さっそく中を……」
冒険者A「気を付けろよ」
インタビュアー「気を付ける? なにをです? って! う、うわーーーーーー! あの! これ! 噛み付いてきたんですけどーーーーー! なんで本に牙がっ!?」
冒険者A「いやー、懐かしいなぁ」
インタビュアー「痛っ! いたたたたた! なんですか、これ! えっ!? ページ開いたら口って!! ちょ、し、死ぬっ! 痛いって!!」
冒険者A「俺も初めてそいつに出会ったときはそんな感じだったなぁ」
インタビュアー「えっ、ちょっ! なにをひたってるんですか!? た、助けてっ! 取って! 取ってくださいーーーーーー!」
冒険者A「お、そうだな。おらっ、離れろ」
インタビュアー「はあっ。はあっ。びっくりした……。な、なんですかそれはーーーーーー!」
冒険者A「なにって、運命の一冊だろ? こらこら、じっとしてろって。よーしよーし。俺があの日に出会ったのも、こいつみたいな本型のモンスターだったんだ。世界にはこんなヤツがいるかと思うとワクワクするだろ? 本棚からこんなのが出てくるんだぜ?」
インタビュアー「……」
冒険者A「俺はこういうわくわくに出会いたくて冒険者になったんだ。死にそうにもなるけどな。最初に出会った本型モンスターは子どもながらになんとかがんばって倒したんだ。だから、もうこの世には無くってな。火事場の馬鹿力ってすごいよなー。こんなの今の俺には子どもの遊び相手みたいなもんだけどよ。あの頃の俺には強敵に見えたもんよ。本当に懐かしいなぁ。あっはっは」
インタビュアー「は、はははははは……。って、運命の一冊ってそういうことじゃありませーーーーーん!」
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