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結婚式3日前。オードリーは豪勢な馬車へと乗り、大勢の供を連れたってエリュティア王国を出る。
2日かけてニェビェスキ王国へとやって来たオードリーは王宮へと入る。夫となるジェフリーと顔を合わせるのは明日の結婚式でだが、特に緊張などはなかった。
夫のことなどどうでもいい、オードリーはただただ今後この国で自分が上手く立ち回っていくことだけを考えていたのだった。
そうして一夜が明け、結婚式当日となった。
オードリーはいつもより一層きらびやかなドレスを身に纏い、ベールのついた王冠を頭へ乗せる。
ジェフリーが待つ礼拝堂へと静々と入場し、彼の元へと歩いて行った。
ふたりで向かい合うと、ジェフリーがベールを上げてくる。こうして夫婦となるふたりは初対面を果たすのだが……オードリーは彼に違和感を覚えた。
ジェフリーの顔、その造形はともかくとして、快活で利発的な表情をしている。オーガスタの話では“ジェフリーは愚鈍で根暗な暗愚”という話だったが、そんな雰囲気は全く感じられない。どうやら噂は噂でしかなかった様だ。
こうしてふたりは神の前で永遠の愛を誓い合った。
神にはオードリーがニセモノの王女だと分かっているかもしれないが、それでもオードリーはオーガスタを演じ続けるのだ。
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