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ジェフリー・ニェビェスキに嫁いだオードリーの人生はそれそれは豊かなものとなった。
オードリーはわがままや不平不満を一切口にすることなく粛々と婚家に仕え、その姿に王宮へ仕える人々は勿論、義理の両親である王や王妃も大層感心した。
またオードリーが貧民達に施しや仕事を与えるような政策を王に進言した為、彼女は国民達からも高い好感を得ることとなる。
そして夫のジェフリー。彼は確かに口数は少なく影のある雰囲気ではあるが、聡明で思慮深く、時にはリーダーシップを発揮して皆をまとめることもある。オードリーはそんな夫を支え、ジェフリーもまた妻に意見を求めるなどした。
最初こそ夫ことなどどうでもいいと思っていたオードリーであったが、ジェフリーの人間性にどんどんと惹かれていき、ふたりはおしどり夫婦となっていた。
ふたりの間にはふたりの男の子とひとりの女の子が生まれ、オードリーとジェフリーは沢山の愛情を子ども達に注いだ。
そして時は流れ、ニェビェスキ王が逝去する。王は自らの後継を第13王子であるジェフリーに託した。
第1王子やその他の王子を差し置いて13番目の王子が王になることに反発があるかと思われたが、王子達は皆口を揃えて言うのだ。
「ジェフリーが次の王になるのは納得だ、英明な王となるだろう。賢妻のオーガスタと共にきっと国を繁栄させてくれる」
と。
こうしてニセモノの王女・オードリーは自らの力でホンモノの王妃へと成り上がった。愛する夫と子ども達、そして国民達の為にと心を尽くしていくと誓うのだった。
エリュティア王国の農村でハミルトンと暮らすオーガスタの元にもオードリーがニェビェスキ王国の王妃となったことが伝わった。
「ハミルトン! わたくしの友人オードリーがついにやりましたわ! ああ、なんということでしょう!」
「ああ、根性があるやつだとは思ってたがまさかそこまで登り詰めるとはなぁ! すごいな、オードリー」
ふたりでオードリーの王妃就任を喜んでいると、ひとりの女の子がやって来る。
「ママ、パパ。今、わたしの名前を呼んだかしら?」
その子どもはふたりの子どもであり、名前は勿論“オードリー”だ。
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