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その時、不意に背後から声が聞こえた。
「最後まで育てきらなかったから、結末が見えなかったのかもしれませんね。」
驚いて振り返ると、そこにはあの占い師が立っていた。成実は占い師の突然の出現に驚き戸惑ったものの、すぐさま反論した。
「あれを育てれば結婚できたはずでしょ?それなのに私は彼氏と別れたんです。」
「私は、種をお渡しした時、何があっても最後まで育てきってくださいとお願いしたはずですよ。」
占い師は、優しく語りかける。
「あなたが育てたのは、ただの植物ではありません。あなた自身の運命です。育てきらなければ、何も咲かないし何も実らないのです。」
「えっ!!そんな…。で、でも、もう育てる意味なんてないんです。健と結婚したかったのに。私にはもう何も……」
そう言おうとした時、占い師は静かに微笑んだ。
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