枯れかけた蕾

8/12
前へ
/12ページ
次へ
「何か…知ってるの?」 「私……見ちゃったの。健くんがその子と手を繋いで歩いてるところ。」 ✢✢✢ 【健、話があるんだけど】 その夜、健にメッセージを送った。既読がついた途端、電話がなった。スマホのディスプレイには、“たける♡”の文字が映し出されている。 成実は何度も深呼吸し、心を落ち着けようとしたが、電話口の健の声が聞こえた瞬間、抑えきれない涙が溢れた。電話口ですすり泣く成実の声を聞いた健が優しい声を掛けてくる。 「なんでそんな優しくするの?私が何も知らないから?」 成実の言葉に、健は「えっ?」と驚いたように返事をした。 「友達から聞いたの。あなたが別の女の子と手を繋いで歩いてたって。この前、それを見たんだって…。ねぇ、本当なの?本当に健は…」 浮気をしてるの? そう聞きたかったが、それを言ってしまうのが怖くて、成実はそれ以上を言葉にできなかった。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加