枯れかけた蕾

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長い沈黙の後返ってきた健の返事は、どこか遠いところから聞こえる声のようだった。 「ごめん、成実。言わなきゃと思ってたけど……他に好きな人ができた。」 ✢✢✢ それから時間をかけて色々話し合ったが、結局成実は健と別れることになった。夢にまで見た結婚は、無残にも壊れてしまった。 毎日、植物を見ては『結婚運を上げる』という言葉が頭の中に浮かび、それが成実の中の悲しい怒りに火をつける。あの占い師に言われた「育てきってくださいね」という言葉が、今では呪いのように思える。 その植物を見るたび心が張り裂けそうだった成実は、植物の世話を続ける気力はなく、今となっては目にする事すら嫌だった。成実は目につかないように鉢植えをベランダに出した。放置された鉢植えは、いつしか枯れかけ、蕾も萎れてしまった。
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