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田中成実は、今度結婚する事になった幸せいっぱいの友達を前に、お祝いするふりをしていた。
他の友達はどう思っているか分からないが、次こそは自分がお祝いされる位置にいると思っていたのに、未だにお祝いする側にいた。
付き合っている健とは今月で3年目になる。自分の年齢を考えると、そろそろ結婚の話が出てもいい頃だと思うが、健からのそんな素振りは全く見えない。
「はぁ。何で私まだ人のお祝いしてるんだろ」
そんな事を心で思いながら、表面上では、笑顔いっぱいでお祝いの言葉を並べ立てる。
『ホント何やってんだ私』
二次会に行く流れとなったが、明日の朝早いからと言って、一次会で切り上げ早々に退散してきた成実が、駅に向かって歩いていると、「幸せになれました」と言う声が聞こえてきた。
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