世界を救う珠

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感情を集めて、手にしたガラス球を世界を救う秘密兵器にする。 そんな夢物語の様なプロジェクトは、思いのほか順調なスタートを切った。 アメリカ、カナダ、南米へ……。 まずはアメリカ大陸から始まった感情集め。 アメリカのニコラウス大統領からの発信ということもあって、皆僕たちのことを信じ、同じ気持ちを向けてくれた。 その時点で分かったこと。 珠は、一度出会った人の感情は、ずっと更新し続けることが出来るということ。 Aという人と出会い、喜びという感情を得たとする。 珠はそのAという人の感情を何らかのシステムでインプットし、その人がたまに向ける感情に変化があった場合は随時更新されていく。 珠に対して『悲しい』という感情が喜びを上回った場合、Aの人の感情の記録は『悲しい』に変わるのだ。 その集まった感情に応じて、珠のエネルギーは変わってくるようだ。 同じ感情が集まれば集まるほど、感情は大きくなっていき、違う感情が入ると少し弱まる……というように、集まっている感情と違う感情が珠に入ると、もともと集まっているエネルギーは減少する、ということだ。 故に僕は、同じ方向の気持ちを集め続ける必要があった。 その後の調べで、半径1キロ以内の人の感情を、珠はまとめて記録することが分かった。 出来るだけ多くの人の感情を得られるように、僕たちは万全の警備体制のもと、世界を出来るだけくまなく移動した。 各国首脳陣の力を借りながら。
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