世界を救う珠

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30分後。 もう待ちくたびれた僕たちの前に、体格のいい一人の男性と、白衣を着た美しい女性の二人組が現れた。 両親がそのうち一人、男性の顔を見て驚く。 僕も、男性の方は良く知っていた。 「アメリカ大統領……ニコラウス……。」 そう、他候補に圧倒的大差で勝利し大統領になってから、数々の革新的な政策を打ち出しては支持率を上げている、ニコラウス大統領その人だった。 もう一人の女性のことは誰も知らない。 しかし、大統領と一緒にこの場に出てくるほどの人物だ、きっと大物に違いない。 その女性が、僕たちとの間にタブレットを一つ置く。 「突然呼び出したりしてごめんなさい。私はNASAの研究者です。」 女性の英語に反応し、タブレットが日本語を表示し、そして日本語の音声で話す。 タブレットは、僕たちの通訳係のようだ。 通訳に人をつけないというところに、この会合がいかに秘密裏に行われているのかが分かった。 「この話は、私たち5人しか現時点では知らない情報となります。今後の話し合い時点で、それは世界全土を巻き込む大プロジェクトになりますが……それはあなた次第です。」 女性は、僕の目を真っすぐに見てそう言った。
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