世界を救う珠

7/15
前へ
/15ページ
次へ
(僕が、選ばれた人間……?) そこから先の話は、全く頭に入ってこなかった。 何も答えられない僕の代わりに、両親が話を進めていき……。 「世界を救う方法がそれしかないのであれば、全力を尽くすだけです。」 「滅亡しない選択肢があるのなら、私も頑張ります。」 両親は、少しでも滅亡という運命に抗うという選択肢を選んだ。 そしてその選択を、大統領と博士は受け入れた。 「そこで、ここからは私の出番だ。私の影響力を持ち、先ずはアメリカから感情を集め始めよう。アメリカが先駆者となれば、他の国も同意してくれるだろう。そのための協力は惜しまないつもりだ。大統領権限で交通手段・住居の確保はさせてもらうよ。あとテレビ局各局のトップの連絡先も教えておこう。」 次々と決まっていく段取り。 僕は、そんなスケールの大きなことが出来るはずが無い、そう思っていたのだが……。 「少年、気楽に行こうじゃないか。どうせ滅びる運命なら、その日まで精いっぱい足掻いてみよう。それでもし結果が変わったならば、君は自他ともに認める英雄だ。」 そんな大統領の言葉に、僕は勇気が湧いた。 そんな僕に、博士が一つだけ注意をした。 「ひとつだけ。集められる感情はひとつだけです。違う感情が混ざってしまうと、エネルギーはどんどん減ってしまいます。それだけ気を付けて……。」 つまり、同じ気持ちを集めなければ、球は成長しないということである。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加