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隠れたほの字
魂の見地から思ったまま、好きに記してみますよ♪
「縦に繋がれて、横に縛られて、縦横二つの鎖が交わった部分、それが人の真の姿なのではないのか?」
Aさまの作品には物語の根底に隠しエンジンとして、これが存在している。
深淵の闇にその身を隠しているのは灯火に照らし出されて、さまざまな色を放つのを待っている数々の鎖たちである。
真っ直ぐに進むだけではない登場人物たちの心情、誤解を恐れずに述べると屈折している心理、足掻く彼らの姿を作者は陰影に富んだ描写で、緻密に紡ぎ出す。
そう……作者が描きたいのは生身の人らしさなのだ。
……これは間違いないものだ、と感じ取ったものを誰もが追い求め、人は不安定というより他ない足場を固めるため、無謀な恋愛をする。
……魂の導きによって、そうなったといってよい。
魂があなたを呼んだのだ、あなたを動かしたのだ、といってもいい。
何かを愛しているとき、人は最高な気分を味わいながらも、傷つきやすく繊細になっている。
あなたは知っているだろうが、そのなかで人は変容してゆく。
これこそが魂の望む経験なのだから。
そのままではいられない、浮き沈みを求め続ける、ということなのだ。
肉体と精神の欲求だけでは、誰もが自らへ対して納得のいく説明はできない。
それだけで成り立っているとなると、自分自身ほど怪しいものはいない。
魂は上がったり下がったりの経験を通じての変容を乞い願う。
人が何かへ恋焦がれる理由はここにある。
その変容が、その経験が、あなたを魂を惹きつけるのだから。
人が恋する対象は人だけに留まらず、人が愛するものは無数にある。
ここから口には出さずとも、誰もが心のどこかで認めていることが判明する。
端的にいうと、すべては物事の本質は「愛」なのだということである。
それを「恋」といったならば、胸がときめく。
心が踊る……つまり人間らしさは、ここにきわまる。
隠れていた縦横二つの鎖の交わった部分が、あなた好みに色づいた瞬間だ。
これをほれる、と表現する。
深く考えるよりも先にあなたはこの感覚をよく知っている。
……ここを作者は描き出したい。
だからこそ、Aさまの作品を読んだ者は、闇夜に咲いた花火を目にしたような情感に出会う。
……あっ、これ知っているよ、安心できるよ、そして……あなたが必要です、といったところであろう。
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