おかえり

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中に入っても懐かしさとかは全く感じない。 2人の生活感はあるなとは思うけど、元々私が住んでたんだろうか。 私の好きそうなデザインの家具があったりはする。 「どう、何か思い出せそう?」 その問いかけに首を横に振る。 「そうだよね…。大丈夫、ゆっくり思い出していこう。思い出せなくても、僕だけはずっと傍に居るからね。」 そう言いながら優しく抱き寄せて頭をぽんぽんと撫でてくれる。 「…思い出せなくて、直くんは辛くないの?楽しい思い出全部消えちゃったんだよ。」 「また作ればいいし、君が生きてここに居てくれるだけで僕は幸せだよ。」 そういうもん、なんだろうか。 もし私だったら、恋人に記憶喪失になられて自分の事好きか分からない状態になって、全て忘れられていたら嫌になる。 私だって今直くんが好きかなんて分からない。 されるがままに受け入れているだけ。 直くんと私は随分考え方が違うようだ。
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