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「ねぇ、アルバムとか写真とか無い?」
「うーん、君は写真が嫌いだったから残ってないな。」
写真が嫌い…?
どうして私は写真が嫌いだったんだろう。
直くんが無いと言うなら無いんだろう。
素直に受け止めるしか無い。
私はこれから先どうやって思い出していけば…。
先が見えない不安に押しつぶされそうになる。
「ねぇ、絵奈ちゃん。無理に思い出さなくていいよ。今のままでも生きていける。なんなら僕が支えるから周りの事は何も気にしなくて良い。」
「そんな依存みたいな真似、申し訳なさすぎて出来ないよ。」
「ううん、僕がもう心配なんだ。また今回みたいに事故が外で起きるんじゃないかって。もう君を失う不安に襲われたくない。」
直くんの気持ちは嬉しいし、不安にさせてしまった事申し訳ないとは思うけど何だかすごく違和感だった。
普通なら思い出して欲しいって思う気持ちは普通じゃないんだろうか。
この気持ちを確かめるための友人や周りと連絡を取る手段がない。
直くんが全てなんだと思い込むしかなかった。
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