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「…誰?」
そう問いかけた時に彼の目が小さく開かれていた。
「僕が、分からないの?」
その問いに小さく頷くと少しだけ悲しそうな表情を見せた。
それから安心させるためなのか何なのか小さく微笑まれる。
本当に誰かわからない、私もこの男の子も。
「…頭、強く打ってショックが起きちゃってるんだね。大丈夫、すぐ思い出せる。今先生を呼ぼうね。」
そう言いながら私の手を優しく握ってナースコールを押してくれた。
頭を強く打った?
どうしてそんな事になった?
確かにズキズキと今頭が痛んでいる。
ナースコールを押すと女の人の声が聞こえた後、男の子が「目を覚ましたので先生をお願いします」と呼んでくれた。
「もう丸2日は眠ってた。良かった、本当に目を覚まして。」
そうボロボロと涙を零しながら言ってくれる男の子に、私は何となく兄とかそういう立場の人なんだろうか?と予想しか出来なかった。
誰なのか判明させて話すには時間が足りなくてすぐに先生が来た。
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