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私の名前は芹沢 絵奈と言うらしい。
どうやら社会人2年目の23歳だそう。
だけど、何の会社でどんな仕事をしていたかなんで当然記憶があるわけが無い。
私の周りのことを今一番知ってそうなのは…。
𓂃𓈒𓂂𓏸
病室に戻ると私の恋人を名乗る男性がまだ病室に居た。
こちらに気付くと立ち上がって寄ってくる。
「大丈夫だった?先生は何だって?」
「あ、はい。大丈夫です。記憶障害って言われたらもうどうにもですし、それよりも今の私の状況を把握しておきたくて。」
「…そうだよね、話すからベッドにまずは入ろう。」
そう言いながら私を病室のベッドに誘導すると、男性は先程まで座っていたパイプ椅子に座る。
「先生からも少しは聞けたのかな。」
「私が住むアパートの階段で足を滑らせて頭を打ったという事と、貴方と私の関係性と、自分の名前、それと頼れる親族はいないという事だけ。」
「…そうだよね、どこから話せばいいか。」
そう言いながら少し困った表情をしている。
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