第1章

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 小国アレンス。  豊かな自然と穏やかな国民性。争いごとを好まず、近隣諸国との関係も悪くはない。  平和ボケしそうだとささやかれているアレンスではあるが、国の中枢部――王家ともなるとそうはいかない。  特に現在は後継者争いが起きていた。第一王子派と第二王子派。  貴族や大臣たちは分断され、上手く国が機能しないという状態にまで陥っていた。  もちろん、この状況を見逃す近隣諸国ではない。つい先日国王の耳に届いたのは辺境の領地に近隣国が攻め入ったという話。  このままではこの国は滅ぼされてしまう――と周囲が危険を抱き始めた頃。国に一つの届けがやってきた。  『アレンスの第三王女ベルティーナを第一王子フォルクハルトの妻に迎えたい』  その届はアレンスにとってまさに救いの手。  ただし、当の王女ベルティーナが結婚を嫌がっているという点を除いては――。
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