カーリーは鉢植えの外

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「ドヤ顔してんじゃねえよユグ!こっちの墓地を確認するのを忘れたか!」 「え!?ぼ、墓地発動のカード落としてたの!?」 「おうよ。悪いがお前のトラップは無効。というわけで、そのまんま俺様のダイレクトアタックが通るんだぜ!おら、エメラルドゴートンの攻撃いいいいいいいい!」 「ぎゃああああああああああああ5000!5000んんんんん!!」  案の定だった。  三階の友人の部屋で、カードゲームに興じているユグを発見。俺は呆れ果てて、彼に声をかけた。 「ユグ。お前、鉢植えのお世話は?」 「あ。忘れてた」 「忘れてたってどういう状態で?水はやったのか?日誌は?」 「あ、あー……」  ユグが、気まずそうに視線を逸らす。嫌な予感しか、しない。 「ど、どうしよ。……ベランダで、日に当ててそのまんま」 「いつから?」 「……今日の朝から」  今は既に夕方である。これはもう駄目なんじゃないか。そう思いつつ、俺はユグと共に彼の部屋に行ったのだった。  案の定。まるで森のように茂っていた草花は、全部枯れていた。否、植物どころか微生物も、土さえもほとんどなくなっている。全て真っ黒に焼け焦げて、あちこちからぐつぐつとマグマを噴き出している状態。  日に当てすぎて、温度が上がってしまったのだ。だから言ったのに、と俺は何度目になるかもわからないため息をつくしかなかった。もはや、ここからのリカバリーは不可能だ。 「あああああああああああああやっちゃったああああああああああああああああ!」  ユグは頭を抱えて、バケツの中を見下ろしている。 「やっぱり駄目だよ、この課題!“世界”を育てるなんて僕には無理いいいいいいい!!」 「まったくだ。ちょっとは文明できかけてたのに、完全に滅亡してんじゃねえか。お前、うっかり世話忘れた、で何回世界を滅ぼせばいいんだよ」 「だってえええええ」  まったく、うっかりユグが作った“バケツの中の世界”に生まれてしまった生き物たちは不憫である。  彼が創造主だったおかげで、こんなにもあっさり死んでしまうことになるだなんて。 「やっぱり、僕、“神様”なんて仕事向いてないよお」 「だろうな。とりあえず補習頑張れ」 「ひいいいいいいい」  ああ本当にそう。俺は滅んだ世界を見下ろして思う。  自分は鉢植えの外の存在で、本当に良かったなと。
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