はじまり

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「てかお前、車で送り迎えさせろよ。何で歩きだよ。」 「車だと目立つでしょうが、あんな黒塗りで迎えになんか来られちゃ。」 「俺がお前を迎えに来る時点で同じ様なもんだろ。」 確かに悔しいけどそれはそう。 美形な上にピアスと指輪やネックレスなどのアクセサリーをシンプルに付けていて、それでいてこれは人には見えてないけど腕から身体にはタトゥーが入っている。 間違いなく私が関わりそうにない相手。 私は特徴もなく地味なのに、朔夜はあまりにも目立ちすぎる。 「せめて人増やさせたら、俺だけでも事足りても万が一を心配してるよ。お前の親父さん。」 「目立つの嫌いなんだってば。」 「お前本当自分の立場分かってねぇよな。心配になるわ、箱入り娘。」 そう言いながら呆れたような顔をする。 他の組員は私にかなり気を遣うけど、この男は何も気なんて遣ってこないから私も楽に話せる。 クズなのも隠そうとしないし、好きになる心配もないので気楽でいい。
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