はじまり

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「…ちょうど帰ってきたか、お前にも話ある。面貸せ」 その男の目がかなり血走ってて怒っているのが分かる。 私にこんな言葉遣いしてくるのは昔から朔夜しかいない。 というのも元々朔夜は頭が良かったので私の家庭教師みたいな事をしてた時もあった。 朔夜が高校生で私が中学生の時。 まだ朔夜が拾われて間もなく喧嘩も覚えていない時。 その時までは良好だったし、私の初恋が朔夜だった。 普通の好青年という感じの朔夜がこちら側の世界に染まって昔の面影は無く、予想以上の成果を上げたりする朔夜は私から離れてひたすら組のために動くようになった。 見る度朔夜は何も思って無さそうな冷たい目をして、拳がぼろぼろになるまで喧嘩をしてくる。 そんな朔夜を見て私はひっそりと初恋を手放していった。 今思えばこんな男が好きだったなんて何かの気の所為だったと思う。
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