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一緒に来たのは猫カフェだった。
連れられるまま来たけど何だか意外なチョイスに少し驚いてしまった。
住宅街の中でひっそりと営んでいる、和を感じる建物の前には確かに小さな看板でcat cafeと書かれていた。
普通の一軒家を使ってカフェをしているのか何だか安心感を感じる。
「何で猫カフェ?」
「優和言ってなかった?随分前に猫カフェに行きたいって。」
「…言った。」
なんとなくで呟いた何気ない一言を慧くんは覚えてくれていたらしい。
そんな事が嬉しくて思わずニヤけてしまいそうになる。
私が話した何気ないを覚えていてくれるってこんなに嬉しいもんなんだな。
慧くんは中に入っていくとでてきてくれた店員さんに「予約してた志水なんですけど」と話をしている。
予約してくれてたおかげでスムーズに中に通された。
中に入ると軽く説明をされて、その間もすでにたくさんの猫がこちらをお出迎えしてくれていた。
ただ、昼間なのもあってほとんどの猫はまったりしていたりウトウトと瞼を落としている猫が多かった。
もちろんやんちゃでじゃれ合ったり喧嘩している猫もいる。
どの猫も模様や色の違い、顔の違いがあってそれがはっきり分かるのも何だか愛おしくて全てにおいて可愛い。
早く触れたくてウズウズしていると、慧くんがおかしそうに少し笑う。
「説明終わったし、触りに行ってもいいんだよ」
「え、もういいの!?」
慧くんが頷くのを見てゆっくりと猫に近づいていく。
真っ白でよく面倒を見られているのか毛並みも何もかも綺麗だ。
そっと手を見えるようにして触れると、動かずに撫でさせてくれた。
毛並みは随分柔らかくてすごく暖かい。
気持ちよさそうに目を閉じながら喉をゴロゴロとしている。
「慧くん見て、すごく可愛い。」
「…うん、可愛い」
そう言ってスマホのカメラを構えると写真を撮られてしまう。
「写真?」
「せっかく来たし思い出残しておかないとでしょ。」
「そっか?」
私だけの写真を取って思い出に残るのかは疑問だけど、慧くんが言うならそうなんだと思う。
特に気にすること無くたくさんの猫と触れ合うことにした。
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