9章

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移動の時間はクラスメイトと交流しながら過ぎていく。 バスや飛行機での移動はあっという間に過ぎていき、気付けば北国の地に足を踏み入れていた。 本州よりも若干涼しくて、夜はもしかしたら少し冷え込むかも知れないななんて考えながら、バスまでまた移動する。 1日目は旭川空港に着陸してそこから旭山動物園を回るようだった。 自由行動らしいけど誰も誘っては居ないのでどうしたもんかと先生の話を聞きながらぼやっと考えて、そうしている内に解散になっていく。 周りが散っていく中、ひとまず邪魔にならない位置にと考えて避けている時、突如腕を掴まれた。 その方向に目を向けると、慧くんがいた。 「…一緒に回っていい?」 「え、でも木更さんは」 「何で優和より花恋と回るの。僕は優和と回りたい。」 私も単純なもんでさっきまでもやもやしていたのにそう言われるだけですぐに喜んでしまって、一緒に回ることを了承した。 てっきり木更さんと回るって思い込んでた。 修学旅行、初めての自由行動慧くんと回れるなんて嬉しい。 「行こ」 「うん」 そんな言葉を交わすと慧くんは私の手をさっと絡め取って恋人繋ぎで園内を歩く。 こんな風に手をつなぐことは何度かあったのに、同じ学校の人の前でこんな堂々と繋ぐのは照れくさい。 慧くんはクラスの人と馴れ合わなくて何考えているかわからないってよく言われるけどそんな事も無い気がする。
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