9章

5/8
前へ
/132ページ
次へ
園内を正面から入るとまだ最初の方はうちの学生の生徒たちで混んでいるので奥から回ろうと歩いていくことになった。 奥に到着して最初に見たのは、カピバラだった。 室内にカピバラはいてそこであたたかそうなお湯の中に入っている姿を目にした。 「カピバラってよく温泉入ってるイラスト使われるけど本当に入るんだね?」 「そもそも身を隠すために長く浸水するらしいよ」 「そうなの?」 「ほら見て。説明欄に書いてる。」 そう言いながら案内が立てられているところに確かに五分以上浸水できることが表記されていた。 可愛いななんて思ったりしたけど生きるのに大変なんだなと思えば色々考えてしまう。 「何か変じゃない?一番最初に見るのが動物園ならではの象とか色々あるじゃん。」 「確かに、カピバラ!」 慧くんとそう言いながら少し笑い合う。 慧くんは空いてる片手で園内マップを見て場所を確認している。 「あ、すぐ歩いたらサルだって。行く?」 「全部回りたいね」 「わかった、じゃあ順番に行こう。」 そう言って繋いだ手は離さないまま一緒に回っていく。
/132ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加