9章

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2人で会計を済ませて売店を出ると翼は缶のタブを開けて私は紙パックを開く。 自分が買った飲み物をまずは口をつける。 口当たりは甘くてすごく優しい。 ヤクルトに似てるけど、何倍も甘い感じ。 「翼、飲んでみる?」 「お、欲しい」 お互いに飲み物の交換をするもその手は誰かによって阻まれた。 私も翼も驚いた表情をするとそこには慧くんがいた。 「幼馴染みでもダメ。」 「慧、どうしたの?幼馴染みの食べ物シェアくらい私等でもするじゃない」 と隣にいた木更さんが話す。 また一緒にいたんだ。 最近なんだかこういうタイミングが多くて少し気が滅入る。 せっかく今日一日何も考えずに楽しく終われそうだったのに。 最後の最後にこんな終わり方。 吐きそうになった溜息をなんとか抑えて飲み物を翼に返す。 「付き合う前の話をしないで、付き合ってからそういう光景見るのは普通に嫌でしょ。」 「そんな、相原くんと萩坂さんの関係でそれが普通だったんだからそんなカリカリしなくてもと思っただけよ。少し落ち着いて慧。」 やめて、そんな目の前で触れないで。 私がいつもドキドキしてできないことを木更さんは幼馴染みだからと簡単に触れてしまう。 それがすごく羨ましくて妬ましかった。
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