10章

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Side 慧 優和が相原に背中を押されるまま室内に戻っていった。 そんな光景が目に焼き付いて離れない。 その姿をずっと眺めていると「…慧?」と声を掛けられてハッとした。 完全に忘れていた。 「…何といわれても何度言われても受け入れられない。」 「ねぇ、何で?あんな子より私のほうが好き。努力もずっとしてきたんだよ…?慧に見合う人になりたくて。」 「だとしても花恋をそんな風に見たこと無い。」 花恋から先程2度目の告白をされて涙目で俺のシャツを握っている花恋の手を優しく払う。 別に今まで近くにいることを受け入れていたつもりはないし、何度も近くに来る花恋を1回1回拒絶するのも面倒でようやく最近どんな気持ちで優和が俺達を見ていたのかわかった気がする。 傷つけてしまった。 早く優和と話をと追いかけようとした時にまたも花恋に腕を掴まれる。 「待ってよ、今は傍に居てよ。今は私が慧に気持ち伝えてるでしょう?」 「…関係ない、そんなん。僕にはどうだっていい話だよ。」 そう言いながら払って走った時に相原が前に居た。 「今日は行かせない。先に俺と話しね?」 「…行かせないって君に何の権限があるの。」 「今のお前が優和に会いに行っても傷つけるだけだよ。」 そう言いながらクイッと顎でこっちにこいとでも言うように合図をする。
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