11章

7/8
前へ
/132ページ
次へ
「でも本当に自分で君が好きなんだって自覚したのは優和に告白された時だった。」 「あの、朝早くの告白のこと?教室での。」 「そう、あの時好きって言ってもらえてすごく嬉しかった。」 柔らかい表情でそんな話をしてくれるから泣きそうになってしまう。 あの時告白したこと、全く無意味なものじゃなかったのも嬉しかった。 そして時間が経った今でも、そういう話を伝えてくれたこと。 「あんなに心奪われたの初めてだったよ。」 「…私も初めてだよ、こんなに好きなのも嫉妬でこんなにもやもやしちゃうのも。」 「嫉妬?」 「嫉妬、してたんだよ。木更さんとずっと一緒だったから。」 正直にそう話をすると、慧くんの表情が申し訳無さそうな表情に変化していく。 「ごめん、本当。僕だって、嫌だったよ、相原と優和の距離が近いの。」 そんな初めて聞く気持ちに思わずニヤけてしまいそうになる。 慧くんも嫉妬してくれてたんだ。 朝までどん底な気持ちだったのに、その言葉だけで幸せになれてしまう。 別れ話されたりするんじゃないかなんて思ってたのに、それどころかそんな幸せなお話を聞けるなんて。
/132ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加