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0.ノルディス・ラルド
「グランス・ハダール氏を殺したのは、アウラ夫人…あなたですね。」
ノルディス・ラルドの告発に、その部屋にいた全員が一瞬息を呑んだ。
アウラ・ハダールが動揺し、引き攣った声を上げた。
「何を根拠に、そんなことを言うんですか!?」
ノルディスは冷静に館の隅を指差した。
「その焦げ跡は、あなたが意図せず残してしまった証拠だ。」
その壁には、ほとんど目立たないが、微かな焦げ跡があった。
アウラの表情が歪んだ。
「『カデリア石』による武器を使ったんですよ。あなたが今もアクセサリーとして身につけている、宇宙でも珍しい鉱石だ」
その胸元には緑の宝石が光っている。
「特定の振動波を持つこの鉱石は、遠隔からでも標的を貫き、何も触れずに危害を与えることができる特殊な武器の素材になる。なぜあなたが、そんな武器を持っていたかというとーー」
ノルディスの手元からアウラのサインが入った密輸取引の証拠らしき極秘資料が取り出され、床にばら撒かれる。
「あなたは、富豪である夫の資産と地位を利用して、裏で武器を密輸していたんだ。だが、グランスがそれに気づいた。だから、彼を消すしかなかった。密室に見せかけた完璧な犯罪を…」
アウラが膝から崩れ落ちた。
ノルディスは続けた。
「事件、解決です。」
ーーー
人類が宇宙の深淵へと歩み出し、星々の狭間を自由に移動する未来。
その光の海の片隅で、謎を糧に生きる一人の私立探偵がいた。
名は、ノルディス・ラルド。
彼は今日も宇宙のどこかで、難事件を解明するために、呼び寄せられる。
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