あの人と出会わなければよかった

12/24
前へ
/60ページ
次へ
「まあ、隠す話では無いし良いんだけど。大学時代付き合ってた彼女は、俺と同じように本が好きで清楚で俺には勿体無いくらい可憐で素敵な人だったよ。言葉遣いや立ち振舞が綺麗というか。」 先生のその話し方で、もうその彼女さんと先生はお似合いだった事が分かる。 そして同時に、すごく好きだったんだという事も。 だって先生の顔が見た事のない、私には絶対に向けられることのない表情をしていたから。 「どうして別れたんですか?」 「うーん、お互い夢を優先させたからかな。彼女も教師を目指してたんだ。お互い高め会えるような存在ではあったけど、お互いに足を引っ張ってる部分も少なからずあってね。」 と苦笑いしながら答えている。 「どうして好きなのに夢を優先させたんですか?」 そう問いかけると少し驚いた顔をして、その後あからさまに困った顔をした。
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加