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「…好きだったからだよ。俺と同じ様に教師を志す彼女の足を引っ張りたくなかったし、彼女も俺と同じ気持ちだったからそうするしかなかった。」
その言い方は今も好きなんだな。
自分が聞いたくせに胸が締め付けられて苦しくなる。
我儘だ、私が聞かせてほしいなんて言ったくせに。
それでも先生の好きな人を考える顔を目の当たりにするとドロドロした汚い自分が顔を出して、こんな自分知らないから苦しくなる。
苦しくても知りたかった、好きな人のことだから。
「今は彼女も夢を叶えて遠方で教師をしてるんだ。お互い慣れない環境下で頑張ってる。」
少し笑うと窓の外に視線を移す先生に目を奪われる。
放課後夕暮れが窓から入って、照らされる先生の顔が綺麗でずっと見ていたかった。
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