あの人と出会わなければよかった

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「楽しかったよね、3年間」 「…はい、馴染めなくて悩んでいる私に先生が毎週金曜日図書室で俺と話そうって誘ってくれた日、ずっと覚えています。」 私の言葉に先生は少し笑って「そうだったよね」と笑っている。 先生も担任を持ったのは私達のクラスが初めてだったみたいだった。 「どうしてあんな風に声かけてくれたんですか?ただの生徒に」 「うーん、目に見えて阿澄が悩んでるの知ってて俺には知らないフリ出来なかったからかな。なんとかしたいって思ってた」 その回答が先生として、なのは当然わかっていた。 だけど気にかけていただいてると思えば嬉しくて、そんな優しい先生がずっと好きだったから。 きっと私の様な面倒な生徒を見て見ぬふりも出来たはずだ。 かなり忙しいはずなのに毎週この時間は余程がない限りは絶対に来てくれた。 そんな先生初めてだったし、好きになれてよかったと思った。
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