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一
まだあげ初そめし前髪の
林檎りんごのもとに見えしとき
前にさしたる花櫛はなぐしの
花ある君と思ひけり
二
やさしく白き手をのべて
林檎りんごをわれにあたへしは
薄紅うすくれなゐの秋の実に
人こひ初そめしはじめなり
三
わがこころなきためいきの
その髪の毛にかかるとき
たのしき恋の盃さかずきを
君が情なさけに酌くみしかな
四
林檎畠の樹この下に
おのづからなる細道は
誰たが踏ふみそめしかたみぞと
問とひたまふこそこひしけれ
この詩は島崎 藤村の『初恋』という詩に当たる。
先生の声で静かに詩が読み上げられる。
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