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「渚くんおはよ」
朝早くの教室。
あたしは、一番乗りしていた渚くんに声をかけた。
「篠崎か、おはよう」
手に持っていたスマホを置いて、笑顔で挨拶を返してくれる渚くん。
ゲームでもしてたのか、画面には小さいキャラクターのモンスターが映っているのが見えた。
「なんのゲームしてたの??」
画面を覗き込みながら、問いかけてみる。
「あ、これ?
モンスターを育成してバトルしたりとかするゲームでさ
バイト先の子がオススメしてくれて、それで始めたらさハマって」
渚くんは画面を見つめながら笑った。
愛おしい、優しい目で。
口からその子の話が出る時の渚くんは、すごく特別な顔をする。
誰が見てもわかるくらいに。
─知っている。渚くんがバイト先の子の話をするのが私だけだってこと。
──嫉妬。
胸の中に広がるその気持ちを黙って押し込んだ。
「そうなんだ!渚くんがハマるなら、楽しいんだろうね〜
私もやってみようかなぁ」
スクール鞄からスマホを取りだし、ストアで調べてみる。
「篠崎も始めるんか!
最近流行ってるからな〜
その子の友達もしてるって言ってたからさ」
画面をポチポチしながら、渚くんは話す。
「そうなんだぁ……」
曖昧に返事しても、渚くんは気にもしてないよう。
「帰ったら、入れてみるね
今通信料やばいからさ笑」
「まじか笑
あんまり使いすぎんなよー?」
ハハッと笑う渚くん。
あたしも笑う。
「うん、気をつけるよ笑」
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