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渚くんの右隣の席。そこが楓の席。
渚くんは窓際の見晴らしのいい席。
今は、二人きり。
朝の眩しい太陽が窓から差し込んで、彼を照らす。
綺麗な黒髪が照らされてキラキラ光っている。
思わず手を伸ばして触れたくなるくらい。
でも、そんな思いを嫉妬を押し込んだ胸の奥に押し込む。
(今日も、渚くんはかっこいいなぁ………)
横目で渚くんを見る。
綺麗な横顔。サラサラの黒髪。
少し日焼けした肌に男の子らしい喉仏。
しなやかに伸びる指先がトントンと画面を叩く。
「何、篠崎?なんか俺に付いてる??」
画面を一時中止にして、渚くんがあたしの方を見る。
見ていたのがバレた。
横目で見ていたはずが、知らずのうちにガッツリ見ていたようで、恥ずかしい。
「え、なんもついてないよ?
朝日が綺麗だなぁって見てただけ笑」
「あ、そゆことか笑
てっきり虫でも付いてるのかと思った笑」
あたしから視線を逸らした、渚くん。
画面を見て少し目を見開いたのを見逃さなかった。
ガタッと席を立ち、そそくさと教室を出ていく。
分かる。きっと、あの子から──。
気になって、ダメなのにそっと渚くんの後を追った。
自習室の中に入った渚くんの姿を見て、あたしはそっと壁に背を付けて、その様子を伺う。
(何してるんだろ、あたし……
これじゃあ、ただのストーカーじゃん…)
自覚はある。でも、気になってしまう。
罪悪感に苛まれながら、聞き耳を立てた。
渚くんは電話をしてる。
「もしもし、星那さん?
すぐ出れんくてごめんね。
うん。今日のバイトの事だよね…」
聞こえた、『星那』という名前。
「うんうん。
マスターがそんなこと言ってたんだね
分かった。
あ………星那さん。」
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