わたし、異世界知識ゼロなんですけど!

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 白髪をたたえた老女神は、疲れたような微笑を浮かべながら「やっと交代要員が来た」と安堵の表情を浮かべた。 「あなたが、次の女神ね……いやはや何年待ったかことか」 「え?わたしはスーパーのパート主婦ですよ!夜勤を交代するの待ってた側なんですけど?」  状況がまったく理解できない未子は、混乱を隠せなかった。だが、老女神は優しく説明を続けた。  未子が今いるのは、異世界転生をサポートする神殿であり、彼女はその役割を担う新たな女神として、ここに転生したのだというのだ。 「……わたしが女神に?えー?無理です!」  未子は信じられない思いで自分の手を見つめた。これが現実なのか、夢なのか、まったく分からなかった。だが、年老いた女神はそんな彼女に構わず、引き継ぎの手続きを淡々と進めた。 「私も長い間、この役目を果たしてきたけれど、もう限界よ。転生してくるアホども、いえ、男たちときたら美しい女神でないと理想と違うだの、こんなの異世界転生じゃないだのあーだこーだと文句ばっかりでね。もう嫌になっちゃうわよ、あなたが来てくれて本当に助かったわ」
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