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「ちょ、ちょっと待ってください! わたし、異世界系の知識なんてまったくないんです! 息子が見ていたアニメを横目で見てた程度だし……!」
未子は必死に訴えたが、年老いた女神は微笑んで首を振った。
「それでも構わないわ。もう時間がないの。来る奴らをテキトーに煽てて、テキトーなチート能力を与えとけばいいだけの簡単なお仕事よ、あとはあなたが頑張ってくれることを信じているわ」
そして、その言葉を最後に、女神は淡い光の中に溶け込むように姿を消してしまった。
一人残された未子は、その場に立ち尽くした。
異世界転生をサポートする女神になるなんて、そんな馬鹿げた話が本当にあるのか。何も分からないまま、彼女は広大な神殿の中で途方に暮れていた。
「ええ?チートって何?さっぱりわかんないんだけど、これからどうすればいいのよ……」
現実感のないこの空間で、未子は思わず自分の頬をつねってみた。痛い。どうやら夢ではないらしい。
困惑と不安が交錯する中で、彼女はゆっくりと神殿の奥へと歩みを進めた。
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