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目の前に広がる幻想的な光景はまさに異世界そのものだった。神殿の中央には巨大な鏡があり、その中には様々な世界が映し出されている。
未子はその鏡の前で立ち止まり、自分の姿を映してみた。そこには、かつての疲れ果てた主婦ではなく、長い銀髪がサラリとなびく、この世のものとは思えないほどに美しい姿の女神がいた。
「これがわたし……見た目20歳くらいに見えるけど!?ていうか美人過ぎるでしょ!」
彼女はしばし、自分の変わり果てた姿を見つめ続けた。確かに美しい、まるで夢のような体だ。
しかし、その内心には依然として不安が渦巻いていた。
「どうしよう……さっきまで特技はスーパーのレジ打ちくらいしかなかったわたしに、この役目が果たせるのかしら」
その時、目の前の魔法陣のような床が輝いたかと思うと、中から一人の青年が転生してきた。
「ここはいったい、俺はたしか、女の子を助けようとして車に轢かれたはずなんだが……」
(うわ!どうしよう、ほんとに転生してきちゃったよ)
「……ゴホン、えー、えーっと、いらしゃいませ〜!ようこそ当店へ!」
未子の転生異世界ライフが、ここに始まった。
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