仮友と笑えば

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 統計データによると、結婚相手に二十五歳までに出会った確率は女性の場合五十%以上を占めているらしい。  そこから考えると、昨日、すなわち二十五歳になったばかりで別れた私は憧れの結婚が一歩だけではなく千歩くらい遠のいたといえよう。  十二月に入り一気に空気が冷たくなってきた。少し前まで暑さに疲弊していたのも忘れてしまうほどの氷のような空気が肌を刺す。  十八時、おしゃれに着飾った街路樹が私たちを出迎える。毎年心踊る季節、だけど今年は心が弾まない。 「なっちゃん!」  そう呼ばれて私は振り返る。  ブラウンの巻き髪をなびかせ、今流行りの白いコートに身を包んで、定番のブランドバックを手に彼女はやってきた。 「ひなちゃん」  私が手を挙げるとひなちゃんはキュッと笑い駆け寄ってきた。 「よかった、すぐわかって」 「今日人すごいね」 「もうすぐクリスマスだもんね」  ひなちゃんはコートの袖を握って両手をこする。 「寒いね、どっか入ろうか」 「うん、なっちゃんどこか行きたいところあったんじゃないの?」 「あ、うん、コスメ買いたいと思って」 「じゃあ行こう」
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