仮友と笑えば

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 私がトングを持ちひなちゃんと自分のタレ皿に交互に置く。  ひなちゃんは皿に載せられる度に肉を食べた。載せれば載せただけいくらでも食べた。  お腹も満たされて酔いもいい感じに回ってきた。  お会計をして外に出ると先に外に出ていたひなちゃんが寒そうに手をこすっていた。 「じゃあ行こっか」 「ご馳走さま」 「うん」  ちらりと時計を確認した。時刻は二十時になろうとしている。  ピッタリだ。  イルミネーションのど真ん中、私たちは別れる。 「いろいろ付き合わせてしまってごめんなさい。今日はとても楽しかったです。ありがとうございました」  私は頭を下げる。 「いえ、私こそ今日は楽しかったです、ありがとうございました」    ひなちゃんもぺこりと頭を下げる。  「あっ、待ってくださいね、封筒に入れてきてるんです」私はカバンをガサゴソと漁り封筒を探しだす。「あったあった、はい、これ、利用料です」 「ありがとうございました。またのご利用、お待ちしています」  そして私は踵を返す。
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