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光り輝くイルミネーションが眩しくて思わず目を細める。抉られるほどの心臓の痛みが少しだけ和らいでいくのを感じる。
明日からまた、頑張ろう。
そう、思った時だった。
目の前を通るカップル、楽しそうに手を繋いで、しだいに彼女の方は彼氏の腕に絡みついた。
私がほしかったブーツを履いて、私と似たような顔立ちの彼女は、私が好きだった彼に笑顔を向ける。
彼も愛おしそうな顔で彼女を見つめる。
私は足がすくんで歩けなくなってしまった。
踏ん張ることなんてできずに溢れ出す涙。そのおかげで視界が揺れてふたりが見えづらくなる。よかった、これで見なくて済む。
大きく息を吸って吐く。
だけどそれは小刻みになって、涙が止まらなくなって下を向く。声が漏れそうになった、その時だった。
「なっちゃん」
後ろから声がして振り返る。
ひなちゃんが立っている。
「ひなちゃん?」
「今から四時間、レンタル友達依頼してもいいですか?」
ひなちゃんはそういうと手に持っているさっき私が渡したはずの封筒を私のポケットに入れた。
「いいの?」
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